1. まず初めに、今回の最新アルバム『グロテスク・マスクド・クラッシャー』のレコーディングはどうでしたか?

HELLWAR(以下H):まず、現在のメンバーは、TOYOZO "ZAP‐T'' YAMADA(G)とHARUO "HELLWAR'' NAKAGAWA(B&Vo)の2名で、今回レコーディングに参加してくれたSHU(Dr)は、CASBAH / INY9UORITY のメンバーです。ギター、ベース、ボーカルやコーラスなどのレコーディングは全て、大阪の HATE BEYOND のギタリスト WARZY 所有の "STUDiO FACE" にて行いました。ドラム・トラックは、東京の "Void)))Lab" でのレコーディングです。
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2. ジャケットのデザインについて教えてください。

H:ジャケットのアートワークを手掛けてくれたのは友人の松浦氏で、「醜い鉄の仮面によって封印されていた己の力を自ら取り戻した3頭の狼男が、彼等を殺す為に送り込まれて来る刺客を次々と倒して行く」というコンセプトでイメージを伝え、彼がそこに自らの解釈を入れ、80年代HEAVY METAL風タッチの見開きジャケット・アートを見事に描き上げてくれました。前作「BLACK BELT」のジャケットのアーミー服を着た男が登場したりと、ちょっとした遊び心も取り入れてくれています。3頭の狼男は、RAGING FURY のアグレッションの象徴であり、キャラクターであり、俺達がトリオ編成のバンドである事を表しています。
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3. このアルバムを製作するにあたり、何かイメージしていた事とかありましたか?

H:アルバム制作を始めた時点で用意出来た曲は数曲しかなかったので、約1ヶ月に1曲のペースで新曲を書き上げて行きました。俺達にとってはなかなか厳しい作業でしたが、アルバムを出すという強い意志を持って臨みました。
SHU も協力してくれて、難しい曲にも果敢に挑んでくれました。俺達にとっても非常に心強かったです。
制作に関してイメージした構想というのは特にはありません。用意した10曲はそれぞれ色が全く異なりますが、そこは RAGING FURY という柱がしっかり支えているので、アルバム全体を通しても全くブレる事はありませんし、色の違う曲を、これで間違いないと言う絶対の曲順で配置する事により、アルバムにも大きなうねりを持たせる事が出来ました。

4. 今更ですが(笑)影響されたバンドなどがあれば教えてください。

H:個人的に影響されたバンドを挙げれば ZAP-T も俺もキリがありませんが、バンドの結成に大きな影響を与えたのは、トリオのバンドとはとても思えない演奏と個性的な楽曲で俺達を魅了したTANK, VENOM, RAVEN 等、多くの野心的なバンドです。

5. では1曲ずつ、解説してもらえませんか?

①THE DEMONIC BEAST FRONT
H:大好きな漫画家、石川賢の代表作「魔獣戦線」をベースに、外見は人間だが体内に数頭の獣を宿した魔獣達の生存を掛けた闘いと、機械支配の文明、望めない暖かく柔らかな未来、悲鳴を上げる地球をテーマに歌っています。またサビで出て来る「Mad beast missiles」は、どうしても歌詞に書き入れたかった言葉で、元々はある国から受ける脅威について歌詞を書くつもりで、その時の仮タイトルが「狂獣ミサイル」だったからです。8分に及ぶ大作ですが、決して長さを感じさせないドラマチックな展開が光る、真骨頂を発揮した1曲です。

②DIE MACHINE
H:「DIE」「MACHINE」をキーワードに、歌詞の内容が日本詞と英詞で異なるという奇抜な曲です。日本詞は特撮時代劇の傑作「大魔神」を題材にし、英詞の方はバンド自身の事を歌っています。アグレッシヴに疾走するこの曲は、正しく俺達の新たな代表作と成り得るパワーを持っています。タイトルの「DIE MACHINE」は「大魔神」をもじったもので、英語的意味は全くありません。ちなみに当初用意していたタイトルは「FURY MACHINE」です。

③CAIN ROSE UP
H:現在も世界の至る所で起こっている銃による無差別殺人の悲劇。スティーヴン・キング原作の短編「カインの末裔」をベースにしており、2002年にリリースした「THE AGGRESSION AND THE FURIOUS DEMO '02」 に収録されていた同曲を今回新たに録り直し、元は英詞だった歌詞を日本詞に書き直して、より冷酷な面が強調されています。ヴォーカル自体も他の曲とは明らかに異なり、ナイフの様な切れ味を持っています。特別な思想を持った誰かだけではなく、全ての人にその引き金があるという危険性を歌っています。

④THE BRAIZOR
H:タイトルは「無頼」「雷蔵」「カミソリ(RAZOR)」をミックスした造語で、凄惨な修羅道を生きる者の歌です。この曲の日本詞は前作「BLACK BELT」で試みた作風をより発展させたもので、言わば一つの完成形だと思っています。ヘヴィに押しまくる前編とアップ・テンポで盛り上がる後編という曲展開は、88年に発表した“THE RATTLESNAKE RULES~GUNSLINGER”と同じスタイルなのですが、約10分にも及ぶこの曲は、更にアグレッシヴにドラマチックに聴かせます。「THE DEMONIC BEAST FRONT」同様、長さを感じさせない構成力はここでも発揮されています。

⑤MORPHINE
H:日本でも深刻な問題である「いじめ」を、加害者でも被害者でもなく、現場に居合わせる第三者の視点というテーマで歌詞を書き始めたのですが、書き進めて行く内に言葉が暴走し始め、どんどん過激な方に進んで行き、当初のテーマの枠には収まらない内容となりました。元々は「...AS A COWARD」というタイトルを付けてましたが、あるニュース番組を見ていた時に思い付いた「MORPHINE」に改題しました。歌詞の内容とは裏腹に、アルバムの中では一番キャッチーな楽曲です。

⑥BREAKNECK SPEED
H:実兄 Tomoji が在籍した京都の SPELLBOUND のカヴァーで、俺が長年音源化を熱望して来た思い入れのある曲です。今回 Tomoji も参加してくれて、ギター・ソロを弾いています。MOTORHEADを思わせるシンプル且つストレートな問答無用のヘッド・バンギング・ナンバーで、ライヴで盛り上がる事間違いなしの1曲です。

⑦GARTHIM SHELL
H:友人である BIRUSHANAH の SANO 氏とコラボした曲で、彼のメタル・パーカッションを全面にフューチュアしたダークなインストゥルメンタル・ナンバーです。前作では出来なかった事をやろうと考えていたアイディアの一つがコラボレーションで、俺達が出す事の出来ない音は何かと考えた時に真っ先に思い浮かんだのが、SANO 氏のメタル・パーカッションでした。ギターレスで、ベースとドラムのキックだけのフレーズの上に SANO 氏のパーカッションを自由に付けてもらおうというのが元々の構想で、最終的にはベース・トラックだけを生かし、SEとパーカッションのうねりに合わせたコーラスを付けた事により、当初考えていた以上の曲に仕上がりました。タイトルの意味は比喩的表現で、「死してもその姿を残す者」。

⑧F.U.R.Y.
H:82年の結成当時、初めて作ったオリジナル・ナンバー「RAGING FURY」のリフやフレーズをフィーチュアしたインストゥルメンタル・ナンバーで、特に印象的なギターのメロディーを持ち、重戦車の勢いで突進する王道メタル・アンセムです。

⑨GROTESQUE MASKED KRUSHER
H:「CAIN ROSE UP」と同じく「THE AGGRESSION AND THE FURIOUS DEMO '02」に収録された「THE GROTESKRUSHER」の録り直しですが、タイトルの変更、歌詞の大幅な書き変えによって、更に鋭さを増したキラー・チューンに仕上げました。これまた大好きな漫画家、風忍の最狂傑作「地上最強の男 竜」を題材に、バイオレントな歌詞とスリリングに展開する曲構成が魅力の1曲です。タイトルの頭文字を取ると、あるゴジラ映画の略称と同じになります。よってこの曲のタイトルをアルバム・タイトルにする事は、俺にとっては必然でした。

⑩THRASH METAL DRAGON,BLACK LEATHER TIGER
H:ブルース・リーを発端とする、70年代に大ブームとなった一連の空手映画にオマージュした、非情なるインパクトでファストに畳み掛ける、アルバムのラストを飾る為に書かれた曲です。タイトルは、当時の空手映画の定番キャラ「ドラゴン」「タイガー」に「THRASH METAL」「BLACK LEATHER」を掛け合わせた造語で、当時の空手映画のタイトル風に表現しました。英語的意味は全くありません。言葉が持つ非情なるインパクトのみです。

6. どの様に曲作りをしていますか?私が思うに、曲構成が凄く練られているとおもいますが、それは最初から?それとも基本のアイディアから、バンドで音を出してみてから変更していく?

ZAP-T:おっしゃる通り、最初からある程度曲として出来上がってからスタジオに持っていく場合もあるし、スタジオで少しづつ作り上げていく事もあるけれど、今回はいつもと違い、リフやメロディより先に DAW でリズム・パターンを打ち込み、それにリフを乗せて作曲した曲もあります。1曲目と10曲目がそのパターンで出来た曲です。

7. 歌詞も非常に細かくアイディアが練られていて、言葉遊びというか、読んでいるだけでワクワクします。私がレコーディングをお手伝いさせていただいている過程で感じたのは、やはり日本のバンドなので日本語で歌う方が、歌うリズムに勢いもあるし(結果的に曲が生き生きしている)バンドを表現するのに適していると感じました。その辺はどうお考えでしょうか?

H:2010年の「ZANBA-SWORDKILL DEMO」収録の「GGGWWWAAARRRHHH」や前作「BLACK BELT」の「CHAOS REIGNS」「SUSPICION AND FEAR」の歌詞を書く上で、再度日本詞にチャレンジし、言葉を選び、変化を付け、変形させる作業がとても面白く、日本詞の楽しさ、魅力を再発見しました。今作では前作より更に進歩した歌詞を書く事を意識し、大胆な言葉も臆することなく使いました。今ではバンドのイメージに「和」を強く感じる方も多いと聞きます。曲を書く過程の中で歌詞は英詞がいいのか、日本詞がいいのかが自然に決まって来るので、俺は意識して「和」を強調してるわけではありませんが、そのイメージが俺達の持ち味になっているのも確かな事の様です。

8. 現在は「将来、バンドで食っていく!」っていう、若い世代がいなくなり、趣味でやっている人ばかりのような気がします。ライヴはコピーバンドばかりだし、オリジナルなスタイルで勝負しているバンドもほとんどいません。このような時代で良いメンバーを探すのは大変なことではないですか?それとトリオ編成にこだわっていますか?

H:俺自身、音楽をプレイする楽しみにおいては、コピー・バンドも全然ありだとは思いますが、現在の日本の音楽シーンは非常に掴み所の無いものになっている様に感じますし、それは当然、音楽を聴く手段の変化も大きく関わっていると思います。そしてそこには明らかな「意欲」の差があると思います。それは音楽に限らず、物に対しても大きく当てはまると思います。時代との関連性は分かりませんが、そう言う意味ではなかなかドラマーは見つけ難いかもしれません。俺達が惚れ込んで聴いて来た音楽には正しくルーツがあり、それを取り込む事で頭の中の引き出しが増え、消化し、再構築し、俺達の音楽としてプレイすると言うこのスタイルは、これからも決して変わる事はありません。これは「欲」なのです。俺達は良い音楽をしっかり継承して行き、そして「表現者」として俺達の音楽を今後も発信し続けて行きます。
もちろんトリオ編成にはこだわっています。国内外のトリオ編成のバンドの素晴らしさ、カッコ良さを知っているからで、俺達もその中の1バンドでありたいと思っています。

9. 1982年に結成と考えると、結成から約37年になります。紆余曲折ありましたが、過去を振り返るとどうですか?あの時こうしていれば「違った現在がある」とか考えますか?

H:バンドを作るのは「人」です。人との出会いがあって初めてそこから音楽が生まれます。過去を振り返ってバンドに関わってくれた方々の事を思うと、それこそが現実であり、それこそが RAGING FURY の歴史なのだと痛感します。様々な局面がありましたが、関わってくれた方々の力があって乗り越えて来たからこそ今の RAGING FURY が存在していると強く思います。俺達はこれからも前を向いて走り続けます。

10. これは毎回どのバンドにも聞くのですが(笑)音楽はアナログに始まりカセットテープ、CD、そして現在はストリーミングサービスが支流になっていますが、それについてバンドはどうお考えですか?

H:エンタテイメントがスマホ1つで手に入る時代になりました。今や音楽や映画が最大の娯楽という時代は終わりました。音楽も映画も現場に足を運ばなくても簡単に楽しむ事が出来ますし、手に入れる事が出来ます。レコードやカセットはCDへ、8ミリ、ビデオ、LDはDVD、Blu-rayへと進化して行き、当然古い物はどんどん姿を消して行きます。ただ、失われたものに対し再び脚光が当たるという風潮があるのは今も昔も変わりません。レコードやカセット・テープが今また見直されているのも事実です。ですが、今後またどの様に音楽の聴き方が変化するのか全くわかりません。結局、楽しみ方は個人で決めれば良いのではないでしょうか。俺の考えは古臭いもので、決して今の時流に乗ってはいません。そしてその考えを他の人に押し付ける気も全くありません。俺達は信じた音楽を追求し、表現し続ける事しか出来ないでしょうし、そうする事が最善の形だと考えています。

11. ジャックハマー・ミュージックによって北米を中心に全世界にCDが流通されていて、当初の予想を上回り追加注文で大変ですが、この現象はどうお考えですか?やはり日本語で歌っている曲が含まれていたり、アニメや特撮の影響とか?とにかく反応が凄く、とても良い現象です!また海外でライヴをやる事についてどうお考えですか?

H:今回の反響に際し俺が思うに、ZAP-T の書く楽曲がとてもユニークで素晴らしいのと、怪しげな英語、歌詞のテーマのオタク度の高さ等が興味をそそる対象になっているのではないでしょうか。アニメであれ映画、音楽であれ、異文化の考え方や表現に触れるのはとても刺激的です。先にも言いましたが、俺達は信じた音楽をプレイしているだけで、多くの方が RAGING FURY の音楽を楽しんでくれているのなら、それはとても嬉しいですし、素晴らしい事です。
海外でやる事については、機会があればその可能性も十分視野に入れます。その為には、こちらもしっかりと体制を整えておく事が重要です。

12. 今後の予定などどうでしょうか?

H:ドラマー不在の今でも俺達は常にスタジオに入り、練習を怠ってはいません。ドラマーが見つかれば早くにライヴ活動が再開出来る様、三位一体で頑張ります。

13. 最後にこのインタビューを読んでいるみなさんにメッセージを。

H:いつもRAGING FURYを応援して頂き、本当に感謝しています。Newアルバムも気に入ってもらえると凄く嬉しいです。そしてまたライヴ会場で皆さんと会えるのを楽しみにしています。ありがとうございました。


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